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映画『ラスト・オブ・モヒカン』感想。

3.5
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『ラスト・オブ・モヒカン』は1992年に公開されたアメリカ映画。ジェームズ・フェニモア・クーパーの小説『モヒカン族の最後』が原作。

ちなみに『モヒカン族の最後』は何度も映画化、ドラマ化されていて、アメリカの文学の中でも有名どころ。

『ラスト・オブ・モヒカン』が公開された1990年代って、ちょっとしたネイティブ・アメリカンブームでネイティブ・アメリカンをテーマにした作品が多かった。『ダンス・ウィズ・ウルブズ』とか『ジェロニモ』とか『ブレイブ』とか。

ネイティブ・アメリカンが登場する作品って決してハッピーエンドじゃないことは分かっているのに、1990年代当時の日本ではやたら流行っていた。

たぶん『新選組』とか『赤穂浪士』とか『平家物語』と言った滅びの美学に親しんでいるので「滅びゆく人達」には親しみを感じやすいのもか知れない。まぁ…その中の1人が私なのだけど。『ラスト・オブ・モヒカン』は公開当時に映画館で観た記憶がある。

今回、ふと思い立って改めて視聴したのだけれど『ラスト・オブ・モヒカン』は他のネイティブ・アメリカン作品とはちっと方向性が違っていることに気がついた。

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ラスト・オブ・モヒカン

ラスト・オブ・モヒカン
The Last of the Mohicans
監督 マイケル・マン
脚本 マイケル・マン
クリストファー・クロウ
出演者 ダニエル・デイ・ルイス
マデリーン・ストウ
ウェス・ステューディ
音楽 トレヴァー・ジョーンズ
ランディ・エデルマン
公開 アメリカ合衆国の旗 1992年9月25日
日本の旗 1993年3月6日

ざっくりとこんな内容

物語の舞台は1757年、イギリスとフランスがアメリカで戦ったフレンチ・インディアン戦争の真っ最中。

イギリス軍指揮官の美しい姉妹コーラとアリスは、父であるマンロー大佐の元に向かっていたところを、フランス軍と同盟しているヒューロン族のマグアに襲撃される。

コーラとアリス達を救ったのはモヒカン族首長のチンガチェックと2人の息子ウンカスとホークアイ。

ウンカスはモヒカン族首長のチンガチェックの実の子だが、ホークアイは白人で養子として引き取られた若者だった。

コーラとホークアイは心を通わせていくうちに、いつしか恋に落ちる。以前からコーラに求婚していたヘイワード少佐は嫉妬心からホークアイを陥れて逮捕してしまう。

しかし、イギリス軍は戦闘で敗北。コーラ達姉妹とヘイワード少佐は共に逃亡することとなる。その中で、姉妹の父であるマンロー大差は戦死。アリスとウンカスも惹かれ合うようになるのだが……

愛こそが全て!

『ラスト・オブ・モヒカン』の現代は『モヒカン族の最後』なので、てっきりネイティブ・アメリカンが滅びていく過程を描いた悲劇だと思ってしまいがちだけど、実は案外そうでもない。

テーマは愛。愛こそが全て…みたいな物語に仕上がっている。

物語だけで言うなら宝塚歌劇で上映しても通用すると思う。2組の恋人と横恋慕する男性が1名…これはもう完全に宝塚シフト。男役トップがホークアイ。娘役トップがコーラ。男役の2番手がヘイワード少佐で…みたいな感じで役どころがバッチリと当てはまってしまう。

ラスト・オブ・モヒカン人間関係図

ラスト・オブ・モヒカン人間関係図

実は私。『ラスト・オブ・モヒカン』の公開当時に映画館で観て「あれっ…思ってた方向性とは違うかも…」とちょっぴりビックリした覚えがある。

だけどアレですよ。いくらネイティブ・アメリカンが題材の映画だからと言って、どれもこれも方向性が同じだったら飽きちゃうって訳です。ちょっとばかり方向性をズラしていくことで、他のネイティブ・アメリカン物とは違うんですよ(キリッ)みたいな効果があった気がする。

『ラスト・オブ・モヒカン』はガッツリ恋愛映画だと思えば無問題。ドラマティック&ロマンティックを地で行く作品に仕上がっている。

自然と共に生きる人々の姿

これは『ラスト・オブ・モヒカン』に限った話ではないのだけれど、ネイティブ・アメリカンがテーマの映画って、とりあえず映像美が凄い。

深い森の中を走り、河を下り、崖っぷちを歩く。

自然の中に放り出されたムキムキの男達の姿は単純に格好良くて「惚れてしまうやろ…」って話だ。

先住民がテーマになる作品って、大抵の場合は先住民達は自然の恵みに感謝しながら、知恵を駆使して生きていて現代人が見ると学ぶべきことが多い。

『ラスト・オブ・モヒカン』もネイティブ・アメリカンの家族感とか死生観は「なるほどなぁ」と感心するところがあった。

盛り上がったところで……

『ラスト・オブ・モヒカン』はテンポが良い作品なので、暇を感じる隙がなく引き込まれたままラスト近くまで見ることが出来るのだけど、やっぱりアレですよ。いくらネイティブ・アメリカンが凄いとか言っても滅びゆく人達な訳ですよ。

ハッピーエンドで終わらせてくれるはずもなく、なんかこぅ…哀しい話にまとまつているのはお約束なので諦めるしかない。

『ラスト・オブ・モヒカン』は数あるネイティブ・アメリカンが登場する作品の中では毛色が違うとは言うものの、ドラマ性が高くて良く出来た作品だと思う。

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