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体の贈り物 レベッカ・ブラウン マガジンハウス

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エイズ患者のサポートをすることを仕事にしている女性が主人公の連作短編集。

どの作品にも「○○の贈り物」という題名が付けられているのだが「贈り物」を名乗るに相応しい珠玉の作品達だった。

電車のなかで、思わずいっき読みしてしまったのだけれども、どちらかと言うと、じっくりゆっくり読んだ方が良いような、そんな1冊だった。

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体の贈り物

食べること、歩くこと、泣けること……重い病に侵され、日常生活のささやかながら、大切なことさえ困難になってゆくリック、エド、コニー、カーロスら。

私はホームケア・ワーカーとして、彼らの身のまわりを世話している。死は逃れようもなく、目前に迫る。

失われるものと、それと引き換えのようにして残される、かけがえのない十一の贈り物。熱い共感と静謐な感動を呼ぶ連作小説。

アマゾンより引用

感想

エイズ患者の話ばかりなので、コテコテした話なのだろうと覚悟して読んだのだけれども、案外と淡々とした文章で、ちっとも嫌味がなくて読みやすかった。

むしろ地味過ぎるような印象さえある。

ヒロインの感情表現も控えめだったし、エイズ患者達の心象風景もパステル画のようだった。事実を事実として述べ伝える語り部の話を聞いているような、そんな印象。

しかし、しっとりと伝わってくる感じがとても良かった。こういう類のテーマを扱う場合は、これくらいが丁度良いのかもしれない。ただでさえ、グイグイと迫ってくるものがあるのだから。

数ある短編の中で、私が気に入ったのは『死の贈り物』と『言葉の贈り物』だった。

短編なので粗筋を書いてしまうと、興醒めになるのであえて書かないけれども、私も物語の中に入っていきたいような。手のひとつでも握って、肩でも抱いてあげたいような衝動にかられた。

そして「私だって、同じだよ」って言葉をかけてあげたいと思った。

それにしても。

死に近い人のそばにいて、それを見守っていくことを仕事にしている人達って、なんて凄いんだろうと思う。

自分の身近にいる人の死を横目で見るだけでも、まいってしまうと言うのに。医師だったり看護師だったり、ヘルパーだったりする人達って、つくづく凄い。

まったく筋違いな話ではあるのだけれど、そんな仕事人達に「ありがとう」の言葉を贈りたくなってしまった。私が身近に感じた人達の死を、彼らは見守っていてくれたのだものなぁ。

しみじみと良い作品だった。

「良書」という言葉が、しっくりと似合うような、そんな感じ。図書館で借りた本なのだが、自分で買って、ゆっくり読みたいなぁ……と思った。

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