美味しそうなコロッケの写真が表紙で、しかも美味しそうな題名だったので、思わず手に取ってしまった。
読書録には登場していないけれど、作者の作品は20代の頃、そこそこ読んだことがある。正直なところ「私には無理」な感じの作品が多かった。『キッチン』とか『TUGUMI』とか。
しかし、当時は流行作家の作品ってことで、色眼鏡をかけて読んでいたのかも知れないし、私も30代も後半になって人間もやや丸くなりつつある。
しかも小説ではなく私の好きな食べ物エッセイ!
読んでみようと思ったのだけど……無理だった。やはり無理だった。
ごはんのことばかり100話とちょっと
日々の家庭料理がやっぱり美味しい。
子どもが小さいころの食事、献立をめぐってのお姉さんとの話、亡き父の吉本隆明さんが作った独創的なお弁当、一家で通った伊豆の夫婦の心づくしの焼きそば…ぎょうざ、バナナケーキ、コロッケのレシピと文庫判書き下ろしエッセイ付き。
アマゾンより引用
感想
私は食事を作るのが好きだし、美味しいものを食べるのも好きだ。
それゆえ、食べ物関係のエッセイに対しては比較的評価が緩くなるのだけれど、作者の描く食べ物はちっとも美味しく感じられなかったし、そこここに滲み出る作者の人柄が好きになれなかった。
とくに執筆当時、2歳半だったという作者の息子に対する記述がどうにも。
ちょうど、私も2歳7ヶ月の娘を育てているだけに「この人(お母さんとしての)とは友達になりたくない」と思ってしまった。
具体的に書いてしまうと自分のトメトメしさが露見してしまうので、あえて書かないけれど、好きとか嫌いとか以前に「無理」って感じだった。
実は私。よしもとばななのことはほとんど知らない。
読んだことがあると言っても10年以上前のことだし、興味が無い作家さんだし。しかし「自分の好きな食べ物エッセイと言うジャンルの読み物をここまでハズして書く作家さんって、どんな人だろう…」と俄然、興味が出てしまった。
グーグルで検索してみたら「なるほどなぁ」というエピソードがチラホラ。
作家の人となりと作品は直結しない……というのが私の持論だけれど「作品」はフィクションに限られる。エッセイの類は、どうしても書き手の人となりが滲み出てしまうので、今後この作者のエッセイは買わないようにしようと思う。
小説となると話は違ってくるし、むしろ「人としてどうよ?」的な人が優れた作品を生み出すことも多いので、これを機に作者が書いた最近の小説を読んでみたいと思った。