本の内容とはまったく関係がなくて恐縮なのだが、今朝、はじめて『はなのすきなうし』と『みんなの世界』の作者が同一人物だってことに気がついた。
読書録も書いてみるもんだなぁ~などと1人で納得。
作者が好きで絵本を選ぶような年頃でもなかったのに、同じ作者の本に惹かれていたという事実に嬉しくなってしまった。この作品と『みんなの世界』は、まったく趣が違うのに、どこか似ている部分があるのだなぁ。
大好きで毎日読みふけっていた頃は全く気が付かなかったのに、この歳になって気がつくなんて。
はなのすきなうし
- 主人公はフェルジナンドという名の牛。
- フェルジナンドは闘牛用の牛なのだが、闘うこのが嫌いらで毎日花のにおいを嗅いで、ぐうたら、のほほんと暮らしている。
- ひょんなことからフェルジナンドは「ものすごく暴れん坊の牛」と誤解されて闘牛場へ連れて行かれる。そして…
感想
作者のマンロー・リーフはアメリカの作家。
『はなのすきなうし』は発売当時、戦いを嫌い、花を愛する牛フェルジナンドは平和主義者のシンボルとされてしまい、か論争を巻き起こしたらしい。
スペインでは発売が禁止され、ナチス・ドイツでは反抗的な本として焼かれてしまった…と言う経緯がある。
……なんて言うのは過去の話。世界中から愛される絵本として、ディズニーでもアニメ映画化されている。
周囲の声なんて気にもとめずに、飄々と生きているフェルジナンドは、たまらなく魅力的。なんか、こぅ「いいなぁ」って感じなのだ。
牛も人も、本人がしたいことだけして生きていけるのが最高だと思う。自分に似合わないことは無理してしないのが1番。
物語の楽しさもさることながら、ちょっと劇画ちっくな感じのする挿絵にも味わいがあって素敵なのだ。
綺麗な絵とは言い難いが、牛がものすごく牛らしくて、白黒のページから牧草の匂いが漂ってきそうなほど臨場感に溢れている。
そんな絵の中で、のほほんと暮らす牛が暮らしているのだから、そりゃぁ、もう愛さずにはいられないというものだ。
子供の頃は単純に好きだったけれど、今になって読んでみると、フェルジナンドの生き方が、羨ましくてならない。
あぁいう風に生きたいなぁ……と思う。普通に生きる大人達なら誰でも、そう思うんじゃないかなぁ。
花の好きな牛が、死ぬまで大好きな花の匂いを嗅いで、のほほんと暮らした……ってことに、心があたたかくなると同時に、激しい羨望を感じてしまう1冊である。