漫画『ゲゲゲの鬼太郎』の作者、水木しげるの妻、武良布枝が書いた自伝。
NHK朝の連続テレビ小説としてドラマ化されるとの事で話題になっていたので手に取ってみた。
私自身、水木氏の漫画が大好きなので、水木しげるのプライベートを覗き見てみたい…という気持ちもあった。
ゲゲゲの女房
巨人・水木しげると連れ添って半世紀。
赤貧の時代、人気マンガ家の時代、妖怪研究者の時代、そして幸福とは何かを語る現在…常に誰よりも身近に寄り添っていた妻がはじめて明かす、生きる伝説「水木サン」の真実!布枝夫人にとって、夫と歩んだ人生とは、どんなものだったのか…!?
水木しげる夫人が、夫婦の半生を綴った初エッセイ。
アマゾンより引用
感想
朝の連続テレビ小説の原作に相応しい爽やかな作品だと思う。
古き良き日本の妻の姿に同世代の人は「私達の時代はこうだったわねぇ」と思うだろうし、若い世代には「昔の人って凄いなぁ」と感嘆させるものがあった。
水木氏の個性的な人生に興味があって読んだのだけど、むしろ主役は作者である布枝夫人だった。
昔の日本の「奥さん」の典型なのかも知れないけれど、夫が立派な人間だとか、そういうことは抜きにして「妻(母)は夫と子供のために生きるものだ」と信じてぶれない強さを感じた。
正直なところ、作者、布枝夫人は私には理解出来ない価値観の人だ。しかし、それを否定しようとは思わないし、そうかと言って賛美しようとも思わない。
時代がそうさせた部分もあっただろうし、彼女自身の人間性もあっただろうけれど、世の中には色々な人がいる訳で「同じ女性だから」と言っても分かり合えない部分は多い。
しかしながら価値観云々はさておき、まっすぐに努力する人は好きだし、貧しくても卑屈になることなく朗らかに暮らす姿勢は素敵だなぁ……と思った。
私自身、妻として、母として生きるにあたり、見習いたいと思うところは多かった。
漫画家、水木しげる氏に興味が無くても、それなりに楽しむことの出来る作品だと思う。
若い世代が読んでも面白いとは思うけれど、特に同時代を生きた人にお勧めしたい1冊だった。