かなり久しぶりに「伝記文学」を読んでみた。
伝記文学には、小説ほどのドラマチックさや創造性は無いけれど、事実としての重みがあって、けっこう好きだったりする。
ましてや、苛烈な時代を生きた人となるとなおの事だ。この作品は第二次世界大戦のナチスに抵抗したグループ「白いバラ」に属していた女性の伝記。年甲斐もなく心熱くなってしまった。
ゾフィー21歳―ヒトラーに抗した白いバラ
ヒトラーによる国家的狂気の中で、仲間を守り、人間の尊厳と良心を守り通したゾフィーの壮絶な勇気が胸を熱くする傑作。
アマゾンより引用
感想
戦争があった時代の「実録」的なものを読むと、ついつい「自分だったら、どうしただろう?」と自問自答してしまうのだけど、大抵はそのたびに激しい自己嫌悪に陥ってしまう。
誰しも結局は「死にたくない」ってところに行き着いてしまうのではないかなぁ。
『白いバラ』のした行動は、決して実のある事では無かったかも知れないし、若者特有の「勘違い」もあっただろうとは思う。
しかしながら、そんなことは後の世の人、あるいは部外者だからこそ批判出来ることだ。あの時代に何か、1つのことをした……ってだけでも、素晴らしいと評価したい。
「誰かのために生きる」ってのは、なんて素晴らしく、そして傲慢な事だろう。
自負がなければ出来なかった仕事だと思う。と同時に、彼らのした事が誰かの心の拠り所になったのも事実だと思う。
ナチスドイツに抵抗した人達の伝記は数多く残されているけれど、この作品も是非、多くの人に知って欲しいと強く思う。
「人は、どう生きるか」ということを考えずにはいられない1冊だった。
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