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愛をください 辻仁成 マガジンハウス

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『愛をください』は手紙のやり取りだけで表現される書簡小説。

「感想を書いて欲しい」とのリクエストを戴いて読んだのだけど、どう書いていいかよく分からない。

すごく良かったのだけど絶賛は出来ないし、かと言って心揺さぶられたのも事実だ。

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愛をください

もう君は一人じゃない―。児童養護施設で成長し、自殺未遂を繰り返す十八歳の李理香の許に見知らぬ男性から突然届いた一通の手紙。

自らも同じ境遇だと明かす手紙の主・基次郎が綴る素直な文面に、李理香も次第に心を開くようになる。しかし、二人には意外な運命が待っていた。

テレビドラマでも話題になった、往復書簡が織り成す純粋な「愛」の物語。

アマゾンより引用

感想

施設で育って人間を信じられず人を愛することの出来ないヒロイン理李香と、理李香とは遠く離れた函館で暮らす基次郎という青年が「決して会わない」という縛りのもと「本当のことを打ち明ける」文通をはじめる。

物語はすごく良い。でも女性の視点で読むとヒロインの描き方にはイマイチ共感出来なかった。

まず作者に言いたいのが「保育士なめんな」ってこと。

もうね…保育士って仕事をまったく分かっていない。

私は保育士の仕事はしたことがないのだけれど、教育系の学部を出ているので多少関わりがある。

また、保育士の友人や知人がいるだけに「これは小説だから」と分かっていても「ちょっと、まった!」と言いたい部分が多々あった。

しかもヒロインが男性の考えた「愛を信じられない傷ついた女」のテンプレなのもいただけない。

父親の愛を知らずに育ったヒロインが、父性を求めて身体をあっさり身体を開いちゃったりするあたり。理解出来なくもないけれど、愛を求める先が「父親のみ」ってあたりは不自然過ぎる。

母親が死亡しているという設定があるとは言え「それって、ただのビッチでは?」と言わざるを得ない。

とは言うものの2人文通はとても面白かったし、ヒロインが色々な経験を経て人間としててり立ちしていく姿は清々しかった。

泣ける……と言えば泣ける。

ただ私はヒロインではなく、ヒロインの文通相手である基次郎主体で読んでいたのでオチにガックリきてしまった。すごく良い話だし感動出来る話なのだけど。

それはそれとして「手紙の力」「文章の力」を感じさせてくれる作品ではあった。

私も10年ほど文通していた事があるだけに身を持って感じるとこがあった。

直接会って話すだけがコミュニケーションの手段じゃない。相手に「伝えたい」って情熱があれば、伝わるものってあるんじゃないかと思ったり。

勧められて読んだ本だけど、面白かった。

欲を言うならもっと若い頃に読みたかった。ペンフレンドと現役で文通をしている時に読めば自分自身に重なることが多かった分だけ、深い読書が出来たと思う。

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