西洋史の基本を知らない人間が読むには、ちょっと厳しいかな……と思った作品だった。
ちなみに私には厳しかった。
知的基礎体力の無さ過ぎに我ながら驚いた次第である。ジャン・コクトーの本文よりも、むしろ訳者の解説の方が約に立った気がする。
美と王妃たち
美しく高貴な女性と、来たるべき女性。現代美とモードとファッションの哲学を切り拓いた天才詩人による珠玉のエッセイ。
20世紀の前衛芸術を走り抜けたコクトー未邦訳作品「フランスの王妃たち」と「暗殺として考えられた美術」の2作品を収録。
ポンパドゥール夫人やマリー・アントワネットなどの王妃19人の人物評と冴えわたる芸術論の金言集。
アマゾンより引用
感想
魅力的な女性達の生涯を、ごく短い文章で、あーだ、こーだと書いてあるのだが、この短さが曲者だった。
なにしろ、こちらは彼女達についての基礎知識がないので、その短い文章から何かを読み取るのは困難だったのだ。
言い回しなどは流石に、お耽美で、こういう文章を書いても、ひと味違うなぁ……とは思ったのだが、それ以上のとこを感じるのは不可能だった。
表題作よりも『暗殺として考えられた美術』の方が、面白く読めた。
こちらは、ジャン・コクトー節炸裂というノリ。知識がなくても入っていけた。
絵画だの、映画だのが好きならば、そこそこ面白く読めるのではないかと思う。
もちろん、ジャン・コクトーの屁理屈が自分の中のそれと合致するとは限らないが「美しいものが大好き」という情熱を感じるだけでも面白いように思う。
ジャン・コクトーは私の好きな作家さんなので、面白く読めたが、少し遠いところから見ると微妙な1冊かも知れない。
副読本として楽しむなら、良いか……という1冊だった。
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