久しぶりに書店で購入した新刊本だと言うのに、まったくもって駄目だった。
タイトルに惚れて買ったのに「狂おしさ」をちっとも感じない作品だった。
小池真理子の作品は、けっこう好きで直木賞をとった『恋』や、個人的にツボだった『棺の中の猫』の感動を期待していたのだけれど、上滑りな印象を受けてしまった。
狂王の庭
「この庭をあなたに捧げる―。」昭和27年、東京都下国分寺。広大な敷地に、全財産を投じてルートヴィヒ二世さながら華麗でシュールな西洋庭園を造った異端児・青爾。
妹の婚約者である彼に惹きつけられる美しい人妻・沓子。
没落する華族社会を背景に、虚無と孤独と耽美の極地で、激しく求め合う男と女を描ききった、世紀の恋愛巨編。
アマゾンより引用
感想
「庭園」という小道具は悪くないと思う。描写も綺麗だし、お金持ちテイストも素敵。
だけど肝心の「恋」が置いてけ堀だったんだなぁ。気だるい恋愛ではあるけれど、そこに狂信的な、あるいは破滅的なものをビタ一文感じなかったのだ。
軽くネタバレで恐縮だが、結果的に破滅していたとしても、何もかもを破壊し、押し流すだけの濁流を感じることが出来なかったのだ。
小手先の恋愛とでも言えばいいのか。勢いが無さ過ぎるのだ。
自分自身は、恋にのめり込む体質ではないのに、読み物にはそういうものを求めずにはいられない…ってのは、自分に不足しているものを「読み物」に求めているのかなぁ…なんてことを思った。
一途で馬鹿で狂わしい恋愛小説が読みたいなぁ。
なにげに欲求不満が募る1冊だった。