『ババヤガの夜』は2025年7月、英国推理作家協会(CWA)が主催するダガー賞の翻訳部門(Crime Fiction in Translation Dagger)の受賞作品。歴史的快挙とのことで昨年は話題になっていた。
暴力小説と聞いていたのでイマイチ手が伸びなかったのだけど「そう言えば読んでいなかったな」と思い立って読んでみたのだけれど、予想していた以上に面白かった。暴力だけでなくシスターフッド(女性同士の連帯)的な要素もあったので時流に乗っていたのかも知れない。
ババヤガの夜 王谷晶
- 暴力を唯一の趣味とする新道依子は関東有数の暴力団・内樹會の会長にその喧嘩の腕を買われて一人娘・尚子の護衛兼運転手としてヤクザの裏社会へ連れ出された
- 依子は拳が飛び交う抗争や秩序の荒々しい世界で尚子を守り抜こうとするが、二人の関係は単なる雇用を超え、曖昧で深い絆へと変化していく軌跡が描かれる
- 抗争や逃避の連続の中で二人は「愛」や「家族」といった言葉では表せない関係性の中で互いを支え合うようになっていく…
感想
面白かったのだけど読んでいる最中に「これってラノベにありがちなノリでは? ラノベじゃないなら漫画…」と感じていたのだけど、最後まで読み終えて作者の来歴を知って納得した。
作者の王谷晶ってラノベ出身だし、さらに言うならBL(ボーズラブ)も手掛けてらしたとのこと。なるほど納得。ヲタクの心に刺さる訳だ。『ババヤガの夜』が世界的な文学賞を受賞した…って、なかなか熱いね! デビューがラノベだろうがなんだろうが「書き続けることが出来て生き残ってきた作家は強い」ってことなのだと思う。
さて。『ババヤガの夜』についての本来の感想なのだけど、これについてはネタバレ無しで思いを伝えることは難しい。かと言ってネタバレしゃうと台無しだよなぁ~って気もするので、今回はネタバレ抜きでお届けしたい。
ひとことで説明すると「漫画とラノベと小説の良いとこ取りの作品」って感じ。驚くほどさ読みやすくてサクサク読むことができる。ただし弱点もあってて詰めが弱い。依子と尚子の関係についてはもっとしっかり描いて欲しかった。長い物語なのに最後があまりにも雑過ぎる。私が読みたかったのは、むしろそこだったよね…まてである。
靴の上から足を掻く…みたいなもどかしさがあったのものの、最後まで読んでもう1周読むくらいには気に入ったので「王谷晶はこれ以外にどんな作品を書いたのか?」と調べてみたらラノベ出身だった…ってことを知った次第。
ひとまず次の作品に期待したい。王谷晶の熱くて濃い作品を楽しみにしている。

