2025年7月19日。夫婦で大阪・関西万博に行ってきた。夫の会社から家族分のチケットが支給されたので「せっかくだから行っておかないと」と思っていたのだけど、週末は予定がキツくてようやく…って感じ。
大阪に住んでいる人間はなんだかんだとチケットが手に入る人がいて、私の周囲の人達は「行ってみたら予想以上に楽しかった」と追加で通期パスを購入するケースが多いのだけど、私達夫婦の場合、万博開催時期の土日の予定を照らし合わせたところ、どう考えても通期パスを買って行くほど予定を空けることは難しいよね…ってことで「1度きりしか行かない」って心持ちで挑んだ。
大阪・関西万博の記録
万博に向けて夫婦で確認したのは「どうしてもイタリア館だけは観たいね」ってことだった。夫婦して少し前に『チ。-地球の運動について-』や『教皇選挙』にハマっていたのでイタリア熱が高まっていたのがその理由。
ただしイタリア館は人気パビリオンなので綿密に予定を立てて挑まないと入れない可能性が高い。そして残念ながら事前の抽選では権利を得ることが出来なかった。なので当日、先着狙いで並ぶことにした。
大阪・関西万博の1日を時系列に沿って記録しておく。
イタリア館攻略の作戦
私も夫もヲタクなので事前に情報を集めるのは大好き。事前情報によるとイタリア館攻略の鍵は「先手必勝」とみた。なので万博会場へは西ゲートから9時に入場予約を取った。

コスモスクエア駅からの大阪湾
万博西ゲートへはコスモスクエア駅からタクシーを利用。コスモスクエア駅7時にタクシーを予約したのだけど、タクシーの運転手さん曰く「土日にタクシーで西ゲートを目指すならタクシーは予約しなくても大丈夫」とのこと。
タクシーを予約する場合、予約料金がかかってしまうので、もし同じ方法を取られるのであればタクシーの予約は不要です。(平日なら予約した方が良いそうだけど)
コスモスクエア駅から万博西ゲートまでは10分ほどで到着。開門は9時なので待機列に並んでじっと我慢。日傘と折りたたみ椅子を持参していて良かった。今回の万博は暑さが問題視されているけれど、ゲート前から入場するまで日陰が無いアスファルトの上なので、この時間が1番キツかった。万全に暑さ対策して挑んで戴きたい。
万博会場入り
万博ゲートから入場するには荷物検査を通り抜ける必要がある。これは案外スムーズだった。荷物検査のゲートは複数用意されていて、ゲートを通過したらまずは大屋根リングを目指した。

万博会場
西ゲートから入ったところにガンダムとミャクミャク像があったので、とりあえず象徴として写真に納めた、寄り道せずにまっすぐイタリア館を目指すした。
イタリア館
イタリア館の列に並んだ。人気パビリオンの待機列は大屋根リング下に誘導されがちなので、ずっと炎天下…って訳ではなかった。9時過ぎにゲートを通った私達がイタリア館に入場出来たのは9時45分。長時間並ばずに入ることができた。ただしこれは朝イチだったからであって、他の時間帯だったらこうはいかなかったと思う。
そもそも9時入場なら先着順のパビリオンはそこまで混んでいないと思う。

イタリア館展示
イタリア館の展示は噂通り素晴らしかった。ファルネーゼのアトラスを間近で見られるだけでも頑張った甲斐があると言うものだ。しかも一旦、館に入ってしまえば美術館ほど混み合っていないのでゆっくり観ることができる。
アトランティックコードやキリストの埋葬&キリストの復活など、貴重な美術品を一度に見られるなんて贅沢の極み…って感じだった。
イタリア館は伝統色だけでなく「現在のイタリア」についてもグイグイ推していて、自転車レースの説明があったり、高級ブランドの展示があったりとイタリアの素晴らしいところを全力で紹介していた。
「私もイタリア館に行きたい。でも予約取れそうにない」って方のためにイタリア館攻略法をまとめておきます。
- 9時入場(西ゲート)で予約を取る
- 朝7時コスモスクエア駅着。タクシーで西ゲートに向かう
- ゲートに入ったら真っ直ぐイタリア館へ向かい列に並ぶ
シンガポール館
イタリア館の次はシンガポール館を訪れた。行列は出来ていたものの、長時間並ばなくても入れそうだったから…ってところが入った理由。

シンガポール館
現代アートと映像を組み合わせた没入型美しい展示で万国博覧会にふさわしいパビリオンだった。
シンガポール館では併設されていたレストランでラクサ(米の麺)を食べ、カラマンシージュースを飲んだ。レストラン…と言うよりもフードコートのテイクアウトコーナー的な一角だった。私は基本的にエスニック料理が好きなので美味しく戴くことができた。
コモンズ館
複数あるコモンズ館は沢山の国の展示がみっしり入っている館もあれば、企画展を行っている館もあった。

コモンズ館・漫画展示
ちょうど日本の漫画家が描いたイラストが展示されていたのでヲタクとしては素通りする訳にはいかなかった。
私達が行った日は「和」をテーマにした漫画原画展。ゆっくりイラストを観て回った。若い漫画家さんは少なめで大御所やベテランさんが多く出展されていた印象。出店者の偏りが気になったけど、なんでだろう?
企画展については万博の会期中ちょくちょく変動するようなので通期パス組でもなければ全て見ることはできない。
常設のコモンズ館については各国の展示とお土産物的なものが販売されている。全て回るのもアリだけど、気になる国だけピックアップして回るのもアリ。
英国館
昼過ぎ。英国館の前を通ると「これなら1時間と並ばずに入れそうだな」って状況だったので、迷わず列に並んだ。

英国館
英国館も没入型のパビリオンでアニメーションを駆使した映像で英国を旅するような紹介をするスタイルだった。テーマは「世界を変えるイノベーションを生み出すアイデアは英国から生まれるんだ」みたいな感じ。
「俺様がナンバーワン」みたいなノリはいかにも英国らしくて良かった。最後に「アストラゼネカは最先端だぜうぇ~い。今の医療を変えるでうぇ~い」と推してきたけど、パビリオンにかかるお金の出どころがアストラゼネカだと言うのであれば致し方ない。
ジョニーウォーカーバーや紅茶を楽しめるカフェなどもあったけれど、チラ見しただけで入らなかった。アルコールを飲んでしまうと次の行動に差し支えるし、お茶をゆっくり楽しんでいる場合ではなかったのだ。
通期パスを持っているのならパビリオン併設のグルメを楽しむのはアリだと思うけれど「1度しか行かない」って人間にとって「ゆっくりお茶」とか「ゆっくりお酒」は難しい。
TECH WORLD
TECH WORLDは2か月前抽選で唯一当たったパビリオンだった。本命ではなかったものの、とりあえず「並ばずに入ることができる」ってだけでありがたい。
「TECH WORLDってなんだよ?」って話だけど、玉山デジタルテックと言う半導体メーカーのパビリオンって形を取った台湾館。たぶん…だけど中国に遠慮して「企業パビリオンです」って形を取ったのだと思う。

TECH WORLD
前半はデジタル技術。後半は台湾の自然(特に胡蝶蘭)をPRしていた。驚いたのは帰りに渡されたお土産。なかなかしっかりしたバッグを渡されて半導体メーカーの資本力を感じた。
パナソニック ノモの国
「パナソニック ノモの国」は当日予約で唯一予約が取れたパビリオン。当日予約はパビリオンによって申し込み開放時間が違うし、そもそも押し負けてしまえばそこで終了。
「なんでも良いから、どこか予約を」くらいの気持ちで申し込んだのだけど、行ってみたら面白かった。
体験型のパビリオンでどちらかと言うと子ども向けな感じ。結晶(デバイス)を手に取り、旅をして自分の中にある可能性に気付く…と言う内容。

パナソニック ノモの国
私も夫も良い年した大人だけど素直に楽しかった。なんだかRPGゲームの中に放り込まれたような感じがした。同じグループに未就学児のお子さんがいたのだけど、めちゃくちゃ楽しそうに満喫されていた。小学生以下のお子さんがいらしたらオススメしたい。
カタール館
カタール館は写真パネル展示がメインだった。カタールの砂漠や海などの紹介があり、過酷な自然環境を知らされた。「こんなところで生活するのは大変だなぁ」と思っていたら最後に首都ドーハのビル群をドーンと紹介してきた。

カタール館
流石は石油と液化天然ガスの国。「資源を持っている国は強いな」と改めて感心させられた。
アラブ首長国連邦館
アラブ首長国連邦館も「並ばずに入れる」って理由で入ってみた。実際、ちょろりちょろりとパネル展示がある感じなので回転率は良さそう。
体験型のアトラクションがあるとか、ここでしか見られないものがある…みたいなノリではないけれど建物自体が素敵なので訪れる価値はあると思う。
館内はナツメヤシで作った柱が何本も立ち並んでいて独特の雰囲気。「ナツメヤシ」って植物はチリの時間で学んだきりで、実際にどんな物なのかは知らなかったので妙な感激があった。「ああ…これがナツメヤシか。教科書で文字しか見たことなかった」と。

アラブ首長国連邦館
アラブ首長国連邦は7つの首長国からなる連邦国家。その様子を可視化した展示コーナーが印象的だった。7人の長が統治する石油の国。イスラム文化圏の国ってニュースでしか意識したことがないので、これを機にもっと興味を広げていこうと思った。
ネパール館
ネパール館は工事の遅れで開館が遅れていたけれど、奇しくも私達が訪れた日が開館初日だった。午前中は驚くほどの大行列だったのだけど、万博離脱前に覗いてみたところすんなり入れそうだったので列に並んでみた。たぶん15分も並ばなかったと思う。

ネパール館の展示
ネパール館には度肝を抜かれた。ある意味において最高に面白かった…まである。
イタリア館だの英国館だのに較べると高校生の文化祭みたいな感じだった。基本的にお土産屋さんの発展型で屋台村の雰囲気さえあった。
建物は安いプレハブで2階テラスと歩くと音が響く。展示品はホームセンターで売ってるようなラックを組み立てて並べたり直置きだったり。エレベーターも恐らく個人宅用。正直「開館が遅れてコレなの?」と首を傾げるレベル。
だけど働いている人はニッコニコなのだ。ネパール館のスタッフ達は心底万博を楽しんでいるのが分かった。
万博だからって凄い展示をしなきゃいけない…って縛りはない。各国、色々なスタンスがあって国ごとに「お国柄」とか「国民性」は違うのだ。万博が「世界の国を知る」ってところを目的とするならネパール館もネパールらしさが出ているのだと思う。
パビリオン共通の感想
私は『国際花と緑の万国博覧会』を体験しているけれど、あの時は小学生だったので「万博とはなんぞや?」ってことを理解せず「なんか凄いな~」程度の感想しか持たなかった。建物が凄かったとか、パビリオンに外国人がいた…とか言う思い出しかない。
大人になった今、万博に行ってみて感じたのは「万博ってのは各国が自分の国を自慢する場なんだな」と言う当たり前のことだった。
そしてどの国も「うちの国ってこんなに素敵なんです。どうぞ遊びに来てください」ってアピールが凄かった。うちの国ってこんなに素敵なんですアピールが特に濃かったのはイギリス。流石は自分の国から世界に出ていってどんどん領地を増やしただけあると感心した。
各パビリオンのスタッフって美男美女が多い。アレって絶対容姿でスタッフ選んでいると思う。どのパビリオンも美男美女が揃っていて眼福だった。
そしてどの国のパビリオンも素直に楽しいのだ。特に最後に訪れたネパール館。開館時期が大幅に遅れていた上にパビリオン自体も正直凄くはないんだけどウェルカムな雰囲気がとても良かった。
短期間ではあるけれど多くの国がひとところに集まって自国を宣伝し、他国のことを学ぶのが万博だと言うのであれば、今回の万博は大成功だったと思う。
大屋根リング

大屋根リング
世間的には色々言われた大屋根リング。実際に行ってみたら素晴らしかった。羽虫が大量発生している…みたいな報道があったけれど、その後の対策が功を奏したのか羽虫を見ることはなかった。
噂通り大屋根リングの下は日除けとしてありがたかった。暑い時期に「日陰がある」って大事なことなのだなぁ。
そして何より感激したのがリングの上に上がってみた時の歩き心地の良さ。ビックリするほど歩きやすいのだ。ランニング勢は走りたくなっちゃうと思う。
景色の良さは言わずもがな。大屋根リングのから万博会場を眺めるも良し。大屋根リングから大阪湾を眺めるも良し。「ヤギと煙は高いところが好き」と言われるけれど、人間だって高いところにくると自動的にテンションが上がるのだ。
「大屋根リングから水のショーや花火を見たら楽しいだろうな~」と思いつつ、娘の帰宅時間の兼ね合いで、水のショーを観ずに会場を撤収した。
持って行って良かった物
さて。今回の大阪・関西万博は暑さが懸念された訳だけど、夏場に突撃するのであれば丸腰で行くのは無謀だと思う。暑さは対策は必須。飲食物もある程度持参することをオススメする。
通期パスを使って「今日は1館だけ見てすぐ帰る」みたいなスタイルなら準備は不要だけど、長時間の滞在となれば途中で飲食することになる。
飲食するのも列に並ぶ必要があるし、たかが飲食するだけで貴重な時間を使うのはもったいないので、万博グルメを楽しみつつもある程度の飲食物は持参することをオススメする。
- 日傘(待機列にいる時に使う)
- 軽い折りたたみ椅子(座って待って体力温存)
- 大判の冷感シート(汗を拭いたり、身体を冷やしたり)
- 保冷バッグ
- 冷凍のアクエリアスパウチパック(小さく捨てられるので便利)
- 冷凍OKのペットボトル飲み物
- 保冷保温の効く水筒
- お菓子・エセルギーチャージ系ゼリー等の食べ物
冷凍した飲み物を保冷バッグに詰めておけば保冷剤が無くてもOK。溶けた物から飲んでいって、飲みきれないければ水筒に。いつでも冷たい物が飲める体制を作っておくと便利。会場でも水を補給できるし、飲み物も購入できるけど「すぐに手に入る」とは限らないので、持参して欲しい。
折りたたみ椅子は必須。「休める時に身体を休ませる」くらいの気持ちでいないと元気に動けないので。
万博を楽しめる人生
大阪・関西万博は日本中から歓迎されていた…とは言い難く交通の便の悪さや建築費の高騰、黒字を出せるのか?など様々な懸念点が指摘されいた。マスコットキャラクターの「ミャクミャク」も気持ち悪い等の意見が多かった。
着工以降はメタンガスが云々、大屋根リングに虫が発生するなどと言ったこともあった。「並ばない万博」を掲げているのに長時間並ばなきゃいけないのはどうしてだよ?みたいな意見もある。
そんな中。大阪では子どもの無料招待があったし企業絡みの一括購入も多かった。そのため「めっちゃ行きたいって訳ではないけど、チケットあるから行く」って人が多かったと思う。私もその中の1人だった。
しかし実際に会期がスタートして万博に足を運んだ人達から「思っていたより良かった」「行ったら行ったで楽しかった」との声が多く聞かれた。中には「良かったから通期パスを追加購入した」って人もいた。
そして私も実際に足を運んでみて「思っていたより良かった」「行ったら行ったで楽しかった」ってのは本当だったなぁ~と感じている。
もちろん人気パビリオンには並ぶ必要があるし、夏場は暑さ対策も必須。交通の便だって良いとは言い難いのも本当だったけれど、それを差し引いても「行って良かった」と思っている。
万博を楽しめない人生よりも万博を楽しめる人生の方がお得な気がしてならない。万博は自国以外の国に触れ、好奇心を刺激され、他国の人とコミュニケーションを取ることが出来る機会なのだもの。楽しまないなんてもったいない。
ちなみに。デザインが公開された時に大不評だったミャクミャクは人気者になっているようで、撮影会は満員だったし、ディズニーランドのようにミャクミャクのカチューシャを付けたり、ミャクミャクをプリントした衣服やアクセサリーを身に着けている人を沢山お見掛けした。
私も時間と状況が許すのなら通期パスを買って色々な国のパビリオンを巡りたいのだけど、残念ながら仕事もプライベートもそれなりに予定が詰まっているので、万博は予定通り1回きりで終了とする。
1度きりの万博だったけれど念願のイタリア館には入ることが出来たし、イタリア館以外のパビリオンも楽しかった。
私が生きているうにち日本で万博が開催されるなら是非行ってみたいと思う。それくらい万博は楽しい場所だった。万博関係者の皆様に感謝の気持ちを捧げて、私の大阪・関西万博の記録はこれにてオシマイ。
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