『神に愛されていた』があまりに好みだったので木爾チレンの作品を続けて読んでみた。
『二人一組になってください』を簡単に説明すると女子高生のデスゲーム。『神に愛されていた』以上にラノベ的。そもそもデスゲームって設定自体、漫画ちっくと言うかアニメちっく。
残念だけど『神に愛されていた』で感じたようなカタルシスは得られなかった。だけど現役中高生が読めば刺さるところはあるのかも。
今回、ネタバレには配慮した感想だけど、うっかりキーワード的なところは漏らしてしまうかも知れないので「真っ白な気持ちでこの作品を読みたい」って方はご遠慮ください。
二人一組になってください
- 「このクラスには『いじめ』がありました。それは赦されるべきことではないし、いじめをした人間は死刑になるべきです」
- ある女子高の卒業式直前、担任教師による【特別授業(ゲーム)】が始まった。
- 突然のデスゲームに参加したのは27人の女子高生。彼女達は左胸のコサージュの仕掛けにより無惨な死を遂げる
- 自分が生き残るべき存在だと疑わない一軍、虚実の友情が入り混じる二軍、教室の最下層に生息し発言権のない三軍
- 生き残って卒業できるのは誰なのか?
感想
『二人一組になってください』は「デスゲームと言う漫画ちっくな設定を受け入れられるか否か?」ってところで受取り方が変わってくると思う。普通の大人の思考で読むと、最初から最後までツッコミどころしかない。「デスゲームってのは、そういう様式美のもとに成り立つネタだから」と受け入れられる人しか読んじゃだめだと思う。
私はとりあえず「まぁ。そこんとこは受け入れましょう」というスタンスで読み進めた。
『二人一組になってください』の女子高生は現代を生きる子達だったけど、かつて女子高生だった中年の私にも共感出来る部分はあった。なにぶん私、陰キャヲタクで中学時代クラスカースト的には最下層ポジションだったから。ちなみに高校はおっとりした女子校で楽しく過ごしていたので、彼女達のことを全て理解できた訳じゃない。
仲良さそうにしていた間柄なのに実は憎んでいた…とか、その逆で「自分が生き残るより友達に生き残って欲しい」と自ら身を引く人がいたりと「クラスメイトの関係」と言っても様々で、木爾チレンはそういうところが書きたかったのだと思う。
惜しまれるのは最初の時点で最後に残る3人が予想できてしまうこと。これはミステリ好きじゃなくても「最後はこの3人でごちゃごちゃやるんだろうな~」って書き方だったので、そこのところは残念だった。
『二人一組になってください』は私よりも現役女子高生(高2)の娘の方が刺さったようで、読書って読む(出会う)タイミングも重要だな~と思った。
決して悪い作品ではないと思うのだけど、もやっとするラストで私の好みではなかった。良かった探しをするならば「木爾チレンって不幸な家族の描き方が上手だよね」ってところかな。逆に言うと木爾チレンの描く幸福な家族はテンプレ過ぎてリアリティがない。「もしかしたら木爾チレンは家族のことで苦労してきた人なのかな?」と思ったりした。
今回の作品はイマイチ好みではなかったものの、木爾チレンが気になる作家さんであることに変わりはないので続けて他の作品も読み進めていきたい。