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神に愛されていた 木爾チレン 実業之日本社

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うわぁぁぁ。2024年も残すところあと2ヶ月となったこの時期。ものすごく好みの小説に出会ってしまった。他の人はどう感じるかは知らない。「私だけの宝物を見つけてしっまった」みたいな気持ち。

読んだのは10月の終わり(実際に読むのとWebに感想をアップするのとでは時差がある)なのだけど、あまりにも好き過ぎたのでヤフオクでサイン本を買っちゃったくらいには入れ込んでしまった。

どうしてサイン本が欲しくなったか…については『神に愛されていた』を読んだ人になら理解して戴けると思う。

『神に愛されていた』は同性愛小説と言うか百合小説でもあると同時に、往年の名作映画『アマデウス』で描かれたモーツァルトとサリエリの愛憎劇のような要素もあったりして、読後「うわぁぁぁ」みたいな気持ちになってしまった。

ハッピーエンドではないけれど私のど真ん中だった。今回の感想はオチや大事なところは伏せておくものの軽くネタバレはが含まれるので「ネタバレは一切読みたくない」って方はご遠慮ください。

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神に愛されていた

ザックリとこんな内容
  • 東山冴理は若くして小説家デビューを果たし、その美貌と才能で一躍人気作家となったが人気絶頂で筆を断る
  • やがて三十年の時が経ち冴理のもとに、女性編集者が執筆依頼に訪れる。
  • 「私には書く権利がないの」と冴理に「それは三十年前——白川天音先生が亡くなったことに関係があるのでしょうか」編集者は問う。
  • 冴理は高校文芸部の後輩、白川天音が「天才小説家」として目の前に現れてからの日々を語りはじめた。

感想

最初に断っておくけれど『神に愛されていた』は個人的には大絶賛本だけど小説としてレベルが高いかと問われると「そうでもない」としか言えないし、ラノベと大人向けの一般小説との間…みたいな感じの作品なので大人向けの骨太作品が好きな人にはまった刺さらないと思う。

……だけど私には刺さってしまったのだ。

『神に愛されていた』は才能に対する嫉妬や行き過ぎたファン心理などを描いた作品で刺さる人には刺さると思う。映画『リズと青い鳥』の上位互換と言ってもいい。『リズと青い鳥』もこのくらいガッツリ描いてくれたら良かったのにね。

冴理をずっと影から支えてきたファンの正体については早い時期に分かってしまうし、なんかこぅ…読んでいてずっとすれ違っていく感じに「あぁぁ…もう!」みたいなじれったい気持ちになってしまった。

愛の狂気…と言うのだうろか。「おいおい…そこまでやるか?」的なクレイジーな話ではあるけれど小説なのでアリっちゃありだ。私は一途な愛が好きなので、かなり歪んだ形ではあったけれど、その愛の形に涙してしまった。

天音はクレイジーとしか思えない人だったけれど、そこまで誰かを愛することが出来るだなんて、こんな幸せなことがあるだろうか。ある意味、究極の幸せの形なのかも知れない。

『神に愛されていた』が描き出したものって、方向性は違うと言えば違うのだけど最高に脂の乗っていた頃の中山可穂くらいの熱量を感じた。

中山可穂の描く登場人物も「人間としてアウト」みたいな人が多いけど「でもその愛は本当だったよね」みたいなところが魅力な訳で『神に愛されていた』に出てくる人達も人間としてはアウトではあるけど、なんかこぅ…嫌いになれない。

『神に愛されていた』は最初はから最後まで冴理と天音の物語ではあるけれど、 茉莉の存在があってこそ…ってところも良かった。そして茉莉の人柄とその献身がちゃんと報われるところも評価したい。

いまは読了した勢いだけで感想を書いているので支離滅裂な感じだけれど2周目を読んで冴理と天音について。そしてクレイジーな愛の形について、もう少し考えてみたい。

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