ここ数年、日本はタバコを排除していく方向に進んでいる。私自身はタバコを吸わないけれど、喫煙者の人は気の毒だなぁ…とつい最近まで思っていた。
タバコが身体に良くないと言うのは理解出来る。しかしお酒も身体に良くない。タバコは駄目でお酒はOK。「タバコは煙が周囲の人の迷惑になるから」と言うことだけど、お酒だって周囲の人の迷惑になる。タバコだけが特別世の中の害になっているかと言うとそうでもないように思うのだ。
タバコにしてもお酒にしても根本的には良いものではないのだ。
良くないのに嗜んでしまうのは、それが大人のお楽しみだから。清く正しく美しく健康的に、だけどちょっぴり味気ない思いをしながら長生きするのと、そこそこに身体に悪いことをしながらも楽しく生きてそこそこに死ぬなら私は紛れもなく後者を選ぶ。
無味乾燥の人生なんてツマラナイ。タバコが好きな人がいてもいいじゃない。大人の嗜みが認められないなんて、ツマラナイ世の中になってしまう。と、ついこの間までそう思っていた。
しかし先日、考えが一変した。
その日は雨が降っていたので傘を差して歩いて買い物に出掛けた。目的地のスーパーへはいつもは自転車で行っていて、歩いて行くことは滅多にない。
しかも自転車のルートと徒歩のルートは違うので地元とは言っても普段はありま使わない道を歩くことになった。そこで目についたのが道のあちこちに落ちているポイ捨てされたタバコの吸い殻。
その道は駅へと続いていて平日は通勤、通学の人間がよく通る。タバコの吸い殻は転々と続いていて、たぶん駅まであるのだろう。
どうりでお天気の日に近くのお年寄りがボランティアでゴミ拾いをしている訳だと合点がいった。雨の日にボランティアの人がゴミを拾わないと、タバコの吸い殻だらけになってしまうらしい。
喫煙者が世の中から白い目で見られるのも致し方ないな…と思った。
実を言うと私の周囲には男女問わず喫煙者が多い。夫はタバコを吸わないけれど、男女関わらず愛煙家を何人も知っている。
たまたま私の知り合いはマナーの良い愛煙家だったのだろう。彼らと一緒にいて不愉快になった事は1度もないし、彼らのほとんどは「携帯用灰皿」なるものを持ってて、タバコを吸う場所に気をつかっていた。
なので私は「世の中にはマナーの悪い喫煙者もいるけれど、そうじゃない人の方が多い」と思っていて喫煙者に対して悪いイメージが無かったのだ。
しかし、タバコの吸い殻だらけの道を見てしまったら「世の中にはマナーの良い喫煙者もいるだろうけど、あんな事を平気でする喫煙者が多いなら、弾劾されても仕方ないな」としか思えない。
それにしても。マナーを守らない喫煙者達はどうして自分で自分の首を絞めるような事をするのだろう?
彼らのマナーが悪ければ悪いほど締め付けは厳しくなっていくと思うのだけど。「大人の嗜みなんだし、タバコくらい許してやれよ~」と思ってもらうには、それ相応の行動が必要になってくると思うのだけどなぁ。
それにしても。自宅近辺の道がタバコの吸い殻であんなに汚くなっていたとは思ってもみなかった。あの道の美しさはボランティアの人達の手によって作られていただけだったのだ。
大阪も大阪市は「路上喫煙禁止地区」を設けていて、これはどんどん広がっていくと思われる。マナーを守ってタバコを楽しむ愛煙家の人達には気の毒だけど、致し方ない流れだな…と思わざるを得ない。