多和田葉子作品を読むのはこれで4冊目。多和田葉子は読んだら読んだで「面白い」と思える作家さんなのに、いまいち手が伸びない不思議。そして今まで芥川賞受賞に手を付けずにいた。
『犬婿入り』は第108回芥川賞を受賞作。芥川賞を受賞した時に話題になっていたのは覚えているけれど、題名があまりにも珍妙過ぎて読んでみる気がしなかったのだ。『まんが日本昔ばなし』じゃないんだろうけど、どうにも心をそそろなかったと言うか。
実際に読んでみての感想は以下ということで。
犬婿入り
- 芥川賞受賞の表題作と『ペルソナ』の2編を収録。
- 多摩川べりのありふれた町の学習塾は“キタナラ塾”の愛称で知られている。
- キタナラ塾の北村みつこ先生が「犬婿入り」の話をしていたら本当に〈犬男〉の太郎さんが押しかけてくる『犬婿入り』
- ドイツのハンブルグに留学した道子は弟と暮らしながら大学で中世文学を研究している『ペルソナ』
感想
『犬婿入り』は思ってた10倍くらい気味の悪い作品だった。なんかこぅ…村田喜代子と通じる気持ち悪さがある。
私はティッシュペーパーを「鼻紙」と呼んで「鼻紙は二度使った後に、お尻を拭くのに使うといい」とか言う文章を読みたいとは思わない。そこはかとなく気持ちが悪いんだもの。そして題名にもなっている『犬婿入り』の物語はもっと気持ちが悪い。セックス描写が生臭い感じでどうにも私の好みじゃない。
……とは言うものの「この世の中のどこにも無かった世界観の物語を生み出した」と考えれば芥川賞受賞は当然のことなのかも知れない。
私個人は『犬婿入り』よりも『ペルソナ』の方が読みやすかった。こちらは「いつもの多和田葉子」って感じ。
- 国家ってなんだ?
- ◯◯人ってなんだ?
……と言うような問題がテーマにっなていて、ドイツで暮らす日本人の視点からものすごく嫌な感じで様々な問題をあぶり出す感じの作品だった。私は海外で暮らしたことがないので、実感を伴って感じることができないのだけど、留学経験のある人が読めばもっと面白いんじゃないかと思う。
今の御時世「国籍や人種、性別などで人を判断してはいけない」という考えが当たり前とされているけれど実際は全くそんなこともなくて、主人公の道子は納得のいかない日々を送っている。
正直、読んでいて楽しいような作品ではない。ただ考えさせられる。読者に理不尽を突きつけてくるな~って感じ。
多和田葉子の作品って読んだら読んだで面白いけど、読むのはちょっぴり面倒くさいし読後感もよろしくない。それでもたまに怖いもの見たさみたいな気持ちで読みたくなるから不思議だな…と思う。