新年早々、物騒な題名の本の感想をアップしてしまうけれど、木爾チレンはマイブームなのでご容赦戴きたい。
『神に愛されていた』『二人一組になってください』に続く木爾チレン3冊目として『みんな蛍を殺したかった』を読んでみた訳だけど、個人的には『二人一組になってください』よりは面白かったけれど『神に愛されていた』には届かないな…って位置付けの作品だった。
だけど、これは本当に個人的な好みの話。
現役女子高生の娘からすると『神に愛されていた』が1番なのは同じものの、娘の次点は『二人一組になってください』なので、木爾チレンの作品群は属性によって好き度が変化する気がする。
みんな蛍を殺したかった
- 京都の底辺高校と呼ばれる女子校に通う生物部のオタク女子3人は校内でもスクールカースト底辺の扱いを受けてきた。
- そんなある日、東京から息を呑むほど美しい少女・蛍が転校してくる。
- 生物部とは名ばかりのオタク部に、話題の転校生である蛍が入部希望と現れ「私もね、オタクなの」と告白する。
- 生物部のメンバー達は互いに友人として絆を深めていくが、ある日、蛍が線路に飛び込んで死んでしまう。
- 真相がわからぬまま、やがて年月が経つのだが……
感想
木爾チレン…ヲタク女子の解像度が高過ぎだって!
『神に愛されていた』でも感じていたけれど『みんな蛍を殺したかった』ではヲタク女子の解像度が凄くて震えてしまった。「私がいる!」と思ってしまったよね。
……とは言うものの。当然ながらヲタク女子も一枚岩ではない訳で、全面的に同意することは出来ないのだけど。
今回『みんな蛍を殺したかった』で感じたのは『二人一組になってください』で感じたのと同じで「ご家庭内の不幸描写がズバ抜けて上手いな~」ってこと。「もしかすると木爾チレン自身の体験も含まれているのか?」と思うほど。作者の経験に基づいたことだろうが、調べて書いたことだろうが真相はどうだっていい。とにかく上手い…上手過ぎる。
『二人一組になってください』にしても『みんな蛍を殺したかった』にしても残念ながら、ちょっと古さを感じる部分がある。現役女子高生の我が子の話を聞いていると木爾チレンの描く女子高生には現役女子高生と微妙なズレを感じずにはいられなかった。
木爾チレンの作風は好きだけど、正直「女子高生」をテーマに続けていくのは厳しいだろうから、ゆくゆくは主人公の年齢を上げて書いてくれたらなぁ~と勝手に思っている。私は木爾チレンの作品を3冊しか読んでいないニワカだけど、木爾チレンがゆくゆく中山可穂か姫野カオルコのポジションに座れたら息長く活動できるのではないかな…とかとか。
今のところ木爾チレンは私にとって推していきたい作家さんなので新刊が出たら続けて追っていくつもり。次は新刊の短編集を読む予定。