今年はすっかり速水和真の作品にハマっていて「速水和真の作品にハズレ無しだな」と思っていたけど『イノセント・デイズ』は私にとって壁本(読後、壁にぶつけたくなるような本)だった。
巷ではなかなかの高評価で「泣きました」みたいな感じでドラマ化もされた人気作品のようだけど、個人的には「無いわぁ~」って感じだった。
今回はミステリ小説なのだけど、ネタバレ全開の感想なのでネタバレNGの方はご遠慮ください。
イノセント・デイズ
- 元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪により田中幸乃(30歳)は死刑を宣告された。
- 幸乃の凶行の背景に何があったのか?
- 産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人など彼女の人生に関わった人々の追想から真実が浮かび上がってくる
- 幼なじみの弁護士は再審を求めて奔走するがのだが……
感想
物語の途中まではそこそこ楽しく読ませてもらっていたけれど、あまりにも納得のいかない設定が多くて楽しむことが出来なかった。
死刑囚の田中幸乃は持病(てんかん持ち(作中で病名は明言されていないけれど、症状からすると、てんかん)と言う設定で、田中幸乃の母は自動運転中にてんかん発作で事故を起こして亡くなっている。
……申し訳ないけど私は都合の良い病気設定を突っ込んでくる作品を素直に楽しむことはできない。
てんかん持ってたら自動車の運転はしちゃ駄目だし、そもそも投薬治療などのある病気なのだ。被害者面するのはやめて戴きたい。確かにてんかん患者が禁止されているにも関わらず自動車を運転して事故を起こすケースはあるものの、だからってそれを悲劇のヒロインに仕立ててしまうのはどうかと思う。
『イノセント・デイズ』は天使のような心を持った田中幸乃が他人の罪を引き受けて不幸に陥り最終的なは無実の罪で死刑判決を受ける物語。いくらなんでも酷過ぎる。作者は『イノセント・デイズ』で何が書きたかったのか?
- マスコミの無責任な報道?
- 死刑の不当さ?
- 儚げな美人を痛めつけたかつた?
……最後まで読んでみたけれど、まったく意味が分からない。
心優しいヒロインが誰かの罪をかぶる…って行為は理解できる。だけど2回も他人の罪をかぶるとか、やり過ぎにもほどがある。美人で病弱で心優しくて、だけど不幸な女が他人の罪をかぶって死刑宣告されるとか安っぽいメロドラマ過ぎる。
早見和真は最初に読んだ2冊(店長がバカ過ぎて過ぎて&新!店長がバカ過ぎて)が気にったので「これから機会があれば追いかけていこう」と追いかけていたのけれど、これから先もこんな路線でいくならノーサンキューだ。
読後、本を壁に叩きつけたくなる思いをしたのは久しぶり。どうしてこの作品が巷で評価されるのか私には全く理解できない。