かんぽ生命で不適切な契約が横行している問題について、色々な情報が出ているけれど、かんぽ生命に関しては私自身深く思うことがある。
私は働きはじめてから20年間かんぽ生命の生命保険を支払続けていた。
契約当時、私は学校を出たばかりで世の中のことを全く分かっていない小娘だった。
かんぽ生命は母が勝手に契約していた。私に相談をする訳でもなく「契約しておいてあげたから、支払いは自分でやりなさいね」と言う具合。
一般的に生命保険の支払額は月々の手取り額の10%が適正だと言われている。
当時は働きはじめてばかりで手取りは16万円もなかったと思う。それなのにかんぽ生命の支払額は月々2万円。どう考えてもオカシイ。
どうして母が子どもにそんな無茶な契約をさせたのか、真意は分からないけれど、母は郵便局の職員を盲信していた。テレビで出てくる「無理な契約をさせられたお年寄り」とまるで同じだ。
そして当時の私は母が勝手にかんぽ生命の契約をしたことに関して「オカシイ」と思うだけの知恵がなかった。
その時はまだ父も存命だったし、父の仕事もまあまあくらいに廻ってたのでお金に対する危機感が無かった…ってこともある。
しかし、父の会社が潰れ、父が色々とおかしくなって、経済的な負担が私と弟の肩にのしかかってきた時が大変だった。
その頃は「やべぇ。事務員やってたら、うちの家計は破綻するわ」との危機感を覚えて転職していたので手取りかガッツリ増えてた。
ただ、父の医療費だの、父の借金の督促などで、働いたお金は左から右へと消えていたため、月々2万円の支払いは大変だった。
その頃には私もお金に対する知識がついていたので「生命保険を中途解約すると損をする」って事は分かってたけど「生活が破綻するよりマシだろ?」ってことで、郵便局に解約の手続きに行った。
しかし…解約すると「損をする」どころ話ではなく、もうお金をドブに捨てたとしか思えないほどの大損害。
流石に「これは死ぬ気で払うしかない」と覚悟を決めて、結局20年間保険を支払って積立金を満期で受け取った。
満期で受け取ったお金は住宅ローンの繰り上げ返済に全額突っこんだので、無駄にはならなかったのだけど「当時、毎月2万円あれば精神的に少しは楽だったのにな…」と思うことがある。
結婚して、私達夫婦は娘が生まれたのと同時に某生命保険会社の学資保険に加入した。
その時、営業マンから定時された金額は私達夫婦が想像していたよりもずっと安かった。
「うちの家計ならもう少し出せるんだけどな…」と思ったので「もう少し高く設定したい」と申し出たのだけど、営業マンは言ったのだ。
「このタイプの保険は満期まで払い続けて戴かないとお客様が損をします。今は払えると思っていても、この先の人生で何が起こるか分かりません。万が一、収入が減っても大丈夫なくらいが丁度良いんです。教育費の全てを学資保険で考えるのではなく、学資保険とは別立てで貯めていくことをオススメします」
私達は営業マンの言葉を信じて、学資保険は営業マンが勧めてくれた金額で設定して、それとは別に教育費を貯めることにした。
- 無茶な金額の保険を売りつける営業マン
- 何かあっても払える程度の保険を勧めて「最後まで払いきってください」と言う営業マン
……どちらが良い営業マンなのかは考えるまでもない。
かんぽ生命の生命保険が満期になった後、私は手軽な金額で加入出来る共済保険に加入した。「死亡保険金は葬式代程度」ってヤツだ。
ちなみに。かんぽ生命が満期になった時、かんぽ生命から勧められた保険の金額は一般的な主婦が支払うには重すぎる金額だった。保険のプランを見て「今も昔も変わっていないんだなぁ」と苦笑いした。
かんぽ生命で不適切な営業をしている事が、明るみに出たのは良いことだと思う。
「騙される人間が悪いんだ」と言う考え方もあるだろうけど、母のようなケースはともかく、テレビ等で報道されている「認知症の人に契約させる」等のやり方は犯罪としか思えない。
詐欺のような方法で契約させられた人達が救済されることを心から願う。