今さらな話だが「本の置き場所」について。
「本の置き場所問題」は本好き人口の大半が罹っている不治の病みたいなものだろう思われるが、私もご多分に漏れず罹患者である。自分の稼いだお金を、あるいはお小遣いを、好きなことに投じるのに何の遠慮もあるものか……とは思うものの、何しろ本は嵩高くていけない。ハードカバーなんて買い揃えた日には目も当てられない惨事になるし、文庫本だって増殖すれば暴力的だ。私など本の増殖を抑えるために一時は「買って読む派」から「図書館派」への移行を決意したのだけれど、図書館読書の限界を思うだに、結局のところ「買って読む派」に舞い戻っている。
いくら好きでも限度というものがある訳で、定期的に古書店へ持って行ったり、友人に貰ってもらったりしているのだが、本を処分する時「どの本を手放すか」というのは悩みどころだと思う。好きな作品や作家さんを置いておくか、それとも手放したら最後、2度と読めそうにもない作品を置いておくか。
理屈で考えるなら、太宰や三島のような大御所の作品は図書館にも揃っているし全集になっているから手放しても大丈夫……なのだけれど、では書簡集や安っぽい研究本も図書館でカバーできるかと言えば、そうではないあたりが悩ましい限りだ。
そして私の場合は、何よりも悩ましいのは絵本や児童書類の扱いである。文芸書のハードカバーよりも嵩高いので、場所の確保という意味では捨ててしまいたいのだけれど、これらのジャンルの本というのは手放したら最後、2度と読めない可能性が高いのだ。今までも何度か手放しているので数は少なくなっているものの「えい、やあっ」と捨てきれないまま現在に至る。もはや絵本と児童書に関してはヲタクを名乗りたいくらいだ。(←マニアではなく、あくまでもヲタク)
「捨てるべきか、捨てざるべきか、それが問題」とて悩ましい日々を送っていたのだが、先日、私が読書録に書いたマイナーな絵本(私は熱愛しているのだが絶賛絶版中)の感想を読んで、メールをいただいた。その感想には「この作品を好きな方、よろしければ語りませんか」というようなことを書いたのだけれど、グーグルで検索をかけても引っ掛かりが少ないような作品だったので、まさか本当にメールを戴けるとは思っておらず、戴いたメールを読んで、めちゃめちゃ感激してしまった。もしも、あの絵本を手放していたら、この感激は味わえなかった違いない。本を捨てる勇気も大切だけれど、捨てない覚悟も必要かも知れない……と思った次第。
そんなこんなで、絵本と児童書については「出来る限り捨てない方向」でいこうと思っている。どうしても置き場所に困ったら本専用のトランクルームでも借りようかと思ったりして。トランクルームに入れるまでに読書録へ記録を残していくのが理想なのだが、物理的に無理だろうなぁ。それにつけても悩ましい。
最高なのは「捨てる勇気」を発揮しなくてもいい身の上になることなのだが、その道程は遠く険しい。ドリームジャンボ宝くじでも買うべきだろうか。捨てる勇気を持つのも大変なことだが、捨てない覚悟を持つのも、それと同じくらい大変なのだと、つくづく思う。