題名から推察出来る通り、食べ物のことを書いたエッセイだった。
食べ物好きとしては、見過ごせないと思ったのだけど、ちっとも共感出来ない食べ物エッセイで、あまりの共感出来なさに驚きを禁じ得なかった。
食べ物エッセイにはハズレが無いと思っていたのでビックリだ。
我、食に本気なり
巨人宮崎キャンプで長嶋監督と食べた大きなさつま揚げ、祖母と歌舞伎座に行った帰り、三越デパート大食堂で食べたアイスクリーム、父とふたりだけの最後の旅で食べたすき焼きなどなど。
米、うどん、ラーメン、お茶漬けからホットドッグまで、ねじめさんが本気でこだわる36の食の話がじんわりと味わえます。
アマゾンより引用
感想
どうしたものか私にはねじめ正一の描く「美味しい物」が、それほど美味しいと感じられなかったのだ。
ねじめ正一は題名通り、食べることの好きな人なだと思うのだけど、食べ物の文章に色気が無いのだ。
参考書やパンフレットを読んでもドキドキ出来ないって感じと少し似ているかも知れない。お菓子の栞だと楽しめるのになぁ。
その上、ねじめ正一の食べ物の好みとか、食に対する姿勢が私のそれと違い過ぎたのも悪かったのだろうと思う。
たとえば、ねじめ正一は「おでんは外で食べるか買ってくるもので、家のおでんは美味しくない」と言うようなことを書いているのだけど、私は家のおでんもそれはそれで美味しいと思っている。
ねじめ正一は家で作った「美味しいおでん」を食べたことが無いんじゃないかなぁ。
おでんに限らず、作者ねじめ正一の描いてる食べ物で「家で食べるもの」は、たとえ「美味しい」と書いてあっても、どれもこれも、それほど美味しそうではない。不思議だ。
しかし、だからってこのエッセイが面白く無いと書くのはフェアでは無いと思う。「私の感覚とは合わない本だった」ってことに尽きる。
題名と表紙絵に魅かれて手に取ったのだけどガッカリな読書になってしまった。