バレンタインデーが近づくにつれ私の心はどうしようもなくザワついてくる。
バレンタインデーと言っても独身の頃と違って45歳の主婦なので「チョコレートで告白」なんてこともなければ、外で働いていないので「あ~。義理チョコとか面倒臭いな~」なんと事もない。
娘は友チョコを作ると言い出すかも知れないけれど、友チョコと言う風習も4年目ともなれば「娘の友達付き合いが円滑にいくために支払う税金のようなものである」と覚悟は出来ている。
私の心をザワつかせるのは「夫にあげる」と言う名目で買うチョコレート。
娘が小さい頃は「お父さんにあげるチョコレートは自分で作る~」と娘が言うのでチョコレートを使ったお菓子を娘と手作りしていたけれど、娘が友チョコを作るようになってから、夫用に手作りする風習は廃れてしまった。
その代わりに導入されたのが「バレンタインデーの時くらい高級チョコレート買ってもいいよね」と言う考え方だ。
昨年は死ぬほど悩みまくった末にヴォワザンのチョコレートを購入した。
たった8粒で2367円。しかし夢のように美味しいチョコレートだった。私の人生において最高のチョコレートだったと言っても良い。
このチョコレートは娘が4粒、私と夫が2粒ずつ食べた。もはや誰のためのチョコレートなのかよく分からない感じだ。
これは全くの偏見なのだけど、果物とチョコレートには貴賎があり、それは概ね価格によって推し量る事が出来る。値段の高いものは美味しいし安い物はそれなりのお味。
野菜とか魚の場合、安くて美味しい物を引き当てる可能性もあるけれど、果物とチョコレートは本当に美味しい物を食べたいのならそれなり覚悟を持って買わねばならない。
今年も昨年と同じチョコレートを買いたい気持ちが強いのだけど、他のメーカーも試してみたいとも思う。
その一方で「お高いチョコレートを買っても娘にひょいひょい食べられちゃうんだから、そこそこ美味しい日本のメーカーのでいいんじゃない?」って気持ちもある。
なんだかんだ言ってメリー、モロゾフ、ゴンチャロフあたりのチョコレートもそこそこ美味しい。この価格帯のチョコレートなら同じ値段で倍の量を食べる事が出来る。
しかし、私はそれで満足する事が出来るのだろうか?
満足感を求めるのなら、いっそのこと夫も娘も喜ぶチーズケーキにしようかと思ったりもする。この時期はチーズケーキ専門店でもバレンタインデー用の商品を出していて、これならたぶん家族全員満足出来ることは間違いない。
こう言う感じ。写真はルタオのチーズケーキ。どこのチーズケーキ屋さんで買うかは悩みどころだけど、個人的にはチーズケーキだと帝塚山フォルマのが好き。
1度でいいから高級チョコレートを鼻血が出るほど食べてみたい。
だけど私は知っている。芥川龍之介の『芋粥』ではないけれど、そんな食べ方をしたところで幸せにはなれない…って事を。そんなに沢山のチョコレートを食べたら、きっと濃厚さにウンザリするだろうし、その後顔にブツブツが出来て大変なことになるだろう。
今年のバレンタインデーはどうしたものかなぁ。こんなどうでも良いようなことに悶々とするなんて実に幸せな事だと思う。
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