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愛子さん 中脇初枝 講談社

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中脇初枝……私の記録に『愛子さん』の他には2冊しか感想を書いていないけれど、密かにデビュー作から追いかけている。ヲタク気質なので彼女の書いた絵本も読んでいる始末。(私が読んだ本の全てをブログに書いている訳ではないので、ブログ記録が全てではない)

久しぶりに小説が発売されたので読んでみた。ネタ的には巷で評価が高かったっぽいけど、正直ガッカリした。

今回はネタバレ込みの感想なのでネタバレNGの方はご遠慮ください。

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愛子さん

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ザックリとこんな内容
  • 横浜空襲・大阪空襲を題材に、戦争によって人生を変えられた人々を描く「穴の中の戦争」「愛子さん」の2篇を収録。
  • 「穴の中の戦争」は、森さん宅の裏に掘られた防空壕を舞台に、恋や嫉妬、悲しみなどが交錯する小さな社会を描く。
  • 「愛子さん」は、失われた人生を抱える79歳の愛子さんが、歩んできた人生を振り返りつつ真夏のある日に渋谷へ向かう姿を描く。

感想

中脇初枝……私は彼女を小説家として認識していたけれど、もしかしたら思想系(政治系)の人だったのかも知れない。あまりにも偏った認識のもとに書かれた作品だったので小説として楽しむことができなかった。

「共感できる部分が無かったのか?」と問われたら「ありました」と答えることができる。戦争の理不尽さを表現したかった……とか言われたら「そうですね」くらいのことは思う。だけど表題作の「愛子さん」は酷過ぎた。文学として設定がズブズブなんだもの。

  • 愛子さんは少女時代に戦争を経験している
  • 愛子さんは女学校にも通っていた(低学歴ではなかった)
  • 愛子さんは空襲で大きな火傷(ケロイド)を負った
  • 愛子さんは職を点々として不遇な人生を送った
  • ラストで愛子さんは無敵の人となり犯罪を犯す

……それっぽい解釈だけど「そうはならんだろ?」過ぎて全く納得できなかった。

一応、学のある設定だったら、そこまで堕ちなくても良いだろうと思う。愛子さんが転落していく過程はどれもこれも「いやいや。分からんでもないけど無理過ぎるて」って感じだった。主人公がもっと低学歴のアホの子設定なら「あるかも知れない」と思ったかも知れないけれど。

そしてラストは令和なので無敵の人にならずとも高齢……ってだけで福祉に繋がることができるのだ。いくらなんでも体制批判が強過ぎる。そもそも無敵の人になるには年齢が高過ぎてリアリティがない。認知症や精神疾患等の理由があってリミッター解除状態ならありなのかも知れないけれど。

文学に独自の政治思想を盛り込むのはアリだと思う。分かりやすく濃い例を挙げると三島由紀夫も小林多喜二もそうだったから。しかし文学として成立させたいのであれば、謎思想で突っ込むだけの力は必要だと思うのだ。中脇初枝にはそれだけの力は持ち合わせていないと思った。

界隈で評価を得ることはできると思うものの「小説」「文学」としては安い読み物でしかないと思った。彼女の著作を追うのはこの作品でオシマイとする。

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