私と夫のウォーキングコースにガチョウのいるスポットがある。場所はここで公開できないけれどペットでもないし動物園のような場所でもない。野生のガチョウだ。
そもそもガチョウは家畜なので自然にいる訳がないのだけれど、地元の人が言うには誰かが飼っていたのを放したのだとのこと。ガチョウは人馴れしていて、触らせてくれる…とまではいかないけれど「人間は自分達を攻撃してこない」と知っているのか近付いても本気で逃げることはない。
人間に対しては警戒しないガチョウ。しかし犬や猫は「敵」だと認識しているようで、散歩中の犬がいると場所を変えたり鳴いて威嚇したりしている。

ガチョウ
ガチョウが生息している…と言うことは他の鳥も沢山いる訳で周囲にはサギもいればカモやカラスやハトやスズメなんかも沢山いる。中でもハトは数が多くて集団で固まってるいことが多い。
ある日。いつものようにガチョウのコースを歩いていると、ガチョウがガーガー大騒ぎをしている声がした。「猫にでも襲われたか?」と行ってみたら、ガチョウはが襲われているのではなく、ガチョウがハトを追い立てていた。
ガチョウもハトも肉食の鳥ではないのでガチョウがハトを食べようとしている訳ではない。さらに言うならハトはガチョウより小さいのでハトからガチョウのテリトリーを犯すようなことはしない。状況から推察するとガチョウが意図的にハトを追いかけ回している…ってことだ。
ハトの集団はガチョウが追い立てるとサーッと逃げるのだけどガチョウは鳴きながら走っていってハトの集団を追いかける…と言うことを飽きもせず続けていたが、ハト集団はガチョウの執拗さにあきらめて遠くに飛んでいってしまった。
夫と2人で顔を見合わせて「ガチョウ…明らかにハトを玩具にして遊んでたよね」と感想を述べあった。
- ガチョウはハトを玩具として遊んでいた
- ガチョウにも自分達以外の生き物を弄びたいという欲求があった
- ガチョウも「いじめ」を行う
野生動物の世界にも「いじめ」は存在する。イルカのいじめは有名で小さなイルカを執拗に攻撃する…なんてのはよくある話。水族館のイルカに至っては「気に食わない飼育員を水に引きずり込む」なんて荒っぽいことまでする。
鳥類(家畜)だとニワトリのイジメが報告されているし、鳥類の場合、アルビノとして生まれた個体が群の中で排斥される…なんてのもよく聞く話。
人間だけでなく多くの生き物は「他者を弄びたい」とか「いじめたい」って欲求を秘めているのだなぁ…とガチョウがハトを弄んでいる光景を見て微妙な気持ちになってしまった。
だとしたら人間の世界て「いじめを無くす」なんて無理だよな…とも思う。大前提としていじめが決して許されいものの、「いじめられない生き方」を学ぶことは大切だし「いじめられた時に適切に対処する」ってことが重要。実際、ハトは「ガチョウが来ない場所に飛んで逃げる」って方法でガチョウから離れることで彼らなりに事態を解決している。
楽しそうにハトを追いかけるガチョウを見ながら「自分はどう生きるか?」「我が子に何を伝えるか?」なんてことを考えた。