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わたしたちはまだ、その場所を知らない 小池昌代 河出書房新社

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小池昌代の長編作品は初めて読んだのだけど面白かった。

ずっと短編集を読んでいて「いつかガッツリ長い物を」と思っていたのだけど、やっと願いが叶って満足している。

でも、正直吃驚した。

今までは大人のドロドロした話とか、主人公が若くてもエロティックだったりして、なんかこう…真っ当な感じの登場人物が出てこなかったのだもの。

それなのに今回は高校生が詩の朗読会をするという筋書きで、「青春」って感じの話だったのだ。

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わたしたちはまだ、その場所を知らない

学校には、日の当たらない場所がある。詩に惹かれる女子生徒と女性教師の、とり残された風景での交わり。

どこにもまだない場所の、希望を微かに感じさせる明るさを描く長編小説。

アマゾンより引用

感想

爽やかな青春小説……とは言うものの、詩の朗読会をしようだなんて高校生の話だから、まぁちょっと普通の高校生とは言えないのかも知れない。

普通じゃないとは言いたくないが「クラスで1、2を争う変わり者」であることは間違いない。

そして、高校生に並々ならぬ思い入れをしてしまう国語教師がいたりするので「爽やかな青春」とは少し違っているのかも知れないけれど、それでも私は「青春」の匂いが恥ずかしくてたまらなかった。

私はこの作品の主人公にかつての自分を重ねて読んでしまっていたのだ。

「どんだけ痛い高校生だったんだよ?」って話だけれど、事実そうだったのだから仕方がない。

もっとも私は詩には興味が無かったし、主人公のように聡明でも無かったのだけど。たぶん、昔文学少女だったオバサン達なら誰だって赤面するんじゃないかと思う。

それはそれとして、最近、部活(それも文化系)というテーマが流行っているのは何故だろうなぁ。

昔から運動部物は小説や映画の題材になりがちだったけれど、今は「軽音」だの「書道」だのと言った文化系の部活が取り上げられている。

この作品は部活では無かったけれど、やっている事は部活のノリだったように思う。読書好き人間としては、こう言ったテーマを取り上げてもらえた…って事だけでも嬉しかったりする。

それにしても、この小池昌代は良い。

今回は青春路線だったけれど、出来れば短編集でありがちなドロドロしたノリの長編が読みたいと思う。

ここのところ「あなたについて行きます!」と思える作家さんが少なくなっているのだけれど、小池昌代にはガチでついて行きたいと思う。そう思えるだけの良い作品だった。

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