生活保護とか社会福祉に携わる仕事って生産性が無いと言われているし「働かないのに楽に暮らせるのはズルイ」「生活保護の人が医療費無料とかズルイ」とネットでは散々叩かれがちだけど、福祉に関する仕事に携わっていると「そうじゃねぇんだよ」と言う気持ちになってしまう。
生活保護を受給している人の大半は高齢者だってことは良く知られていることだけど、じゃあ高齢者じゃない人はどんな感じなのか…と言うと、境界知能だったり知的障害だったり発達障害だったり精神障害だったりするケースが多い。
身体障害者は一目みて「あっ。障がい者だ」って分かるけれど、それ以外の障がい者の場合、パッと見では分からない。それどころか本人も自覚がなくて手帳を持っていないケースも多いのだ。
彼らは「働かない」のではなく「働けない」のだ。普通の人からすれば「健康なのに働かないのはズルイ」ってなるだろうけど、彼らにとって働くって難しいし、就職したとしても解雇されてしまう。
先日、生活保護のケースワーカーをしている親友と話をした時に「社会福祉は無敵の人を作らないためのシステムで、結局は普通に生きてる人を守るための仕組みだよね」って話をして互いに頷きあった。
数年前に『ジョーカー』と言う映画がヒットしたけれど、あの作品も無敵の人がテーマだった。「あんなの作り話でしょ?」「無敵の人と同じ環境になったからって全員犯罪者になる訳じゃない」と思う方も多いだろうけど、実際に彼らと向き合ってみると、そんな風には思えない。
上手く説明するのは難しいけど普通の人に彼らの思考の突拍子のなさを想像することは難しいし、彼らはものすごい爆発力を持っている。認知症の高齢者が徘徊する際、信じられないほどの長距離を平気で歩き続けられるのと似ている。
理想の社会を構築することは難しい。生活保護にしてもその他の弱者に対する社会的な支援にしても制度の穴がある限り、ズルイことをする人は絶対に出てくる。だからって「そんな物、無くしちまえ」って訳にはいかないのだ。
もしも…だけど。現在の生活保護や弱者に対する支援を全てストップして、社会的弱者が丸裸の状態で野に放たれたら…と思うと、それこそホラー映画の世界になってしまうだろう。
結局バランスなんだろうなぁ。どんな制度も完璧に運用できないのは当たり前として「丁度よいライン」の見極めが大事になってくる。なんだか話が大きくなってしまったけれど、毎日仕事をしていてそんなことを感じている。
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