吉村昭

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蚤と爆弾 文春文庫 吉村昭

数年ぶりの吉村昭。吉村昭、没後10年と言うことで未読作品を手に取ってみた。今回は森村誠一『悪魔の飽食』でもテーマになった第二次世界大戦時、満州で細菌兵器の実験をしていた731部隊がテーマ。吉村昭らしく地味で淡々とした調子で物語が進んでいく。...
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真昼の花火 吉村昭 河出書房新社

吉村昭の未発表作品集。吉村昭は亡くなってから何年も経っているので、図書館で見かけた時は「あぁ…まだ、この人の知らない作品が読めるんだ」と、昔の恋人に再会したような甘ったるい気分になってしまった。 プロの書評家の評価だと、なかなかの高評...
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熊撃ち 吉村昭 文春文庫

地味ながらもグッっとくる短編集。色々なタイプの「マタギ」が登場して、それぞれに熊と対峙する。自然の脅威がテーマだったり、男の生き様がテーマだっり、あるいは人間の業のようなものがテーマだったり。密やかに展開される世界が、非常に魅力的だった。 ...
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背中の勲章 吉村昭 新潮文庫

痺れちゃうなぁ。吉村昭の文章は。「もう、好き過ぎてどうしましょう?」と言うくらい好きだ。最近の作家さんの中で男と職人を書かせたら、この人の右に出る人はいないんじゃないかと思う。渋い……渋すぎる。背中で語る男。男の中の男。黙して語らずというよ...
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星への旅 吉村昭 新潮文庫

なんだかんだとハマっちゃっている小説の匠・吉村昭が若かりし頃に書いた短編集。個人的には、技術力がアップして「やり過ぎ」な感じになってきた作品が好きだけど、たまには脂ぎっていた(であろう)時代の物を読んでみようと。 表題作は集団自殺した...
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高熱隧道 吉村昭 新潮文庫

久しぶりに手に汗握り、心を熱くして読んだ作品だった。黒部渓谷にトンネルを作った男達の物語。黙々と戦う男達の姿が、身悶えするほど良かった。実際の出来事をアレンジして書かれたもので、ジャンル的には記録文学になるとのこと。 一般的に仕事とは...
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月下美人 吉村昭 文春文庫

面白い……と言うほどの作品ではなかったのだけど、自分の中にあった作者の像がクッキリと浮かび上がる1冊だった。作者自身の執筆活動に関わる短編集で、言っちゃぁなんだが物語自体は、どれもこれも大したものではなかった。しかしながら作者の執筆に対する...
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仮釈放 吉村昭 新潮文庫

非常に面白かったのだけど、なんだか微妙な後味だった。 タイトルの通り、仮釈放をうけた人の生活を描いたお話だった。当然のごとく主人公は犯罪者。不倫していた妻を殺害したことで刑務所に入り、刑期半ばで仮釈放となる。娑婆へ帰るまでの気持ち、そ...
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熊嵐 吉村昭 新潮文庫

私は吉村昭の書く文章にゾッコン惚れこんでいるのだと思う。痺れてしまった。ゾクゾクしてしまった。トキメイてしまった。多くの男性作家さんの中で、心の父と慕い、敬愛しているのは遠藤周作だけど、恋人のように思っているのは吉村昭なんだなぁ……と今更な...
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赤い人 吉村昭 講談社文庫

明治時代、北海道の開拓の一端を担った囚人たちと看守の物語だった。吉村昭の18番とも言える監獄物で、相変わらず、地味で陰気で面白かった。渋い……渋すぎる。こういう小説は男性作家ならではだと思う。 それにつけても酷い話だった。「人権って、...
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孤独な噴水 吉村昭 講談社文庫

小説の匠、仕事人、吉村昭らしからぬ、ベタベタした作品で好みでは無かった。井上光晴を彷彿とさせる油ギッシュさで、吉村昭好きを自認する私でさえ「これはちょっと…」と思ってしまった。 主人公は若い新人ボクサー。ボクシングを軸にして、彼の家族...
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プリズンの満月 吉村昭 新潮文庫

素晴らしい戦争文学だと思った。手放しで絶賛したい。 野坂昭如『火垂るの墓』や大岡正昇平『野火』などが戦争の悲惨さを正面から描く文学とするなら、映画『ローレライ』の原作である福井晴敏『戦場のローレライ』は、そこにエンターテイメント性を加...
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大黒屋光太夫 吉村昭 毎日新聞社

作者が得意としている漂流記ものだった。井上靖の書いた「おろしや国酔夢譚』よりは、ずっと地味づくりだっだが、私はこの作品のほうが面白いと感じた。好き嫌いがあるので、一刀両断で決め付けるわけにはいかないけれど。 ただひたすらに、直向に「故...
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天に遊ぶ 吉村昭 新潮文庫

やっぱ好きだなぁ。この人の作品って。地味で面白味のない短編集だったのだが、なにげない小技が効いていて、ちょっとツボだった。作者の作品は基本的に長編の方が面白いと思うのだが、短編も案外悪くない。そして、この短編集の「ウリ」は、何をおいてもの「...
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縁起のいい客 吉村昭 文藝春秋

気がつけば、この読書禄で1番たくさん感想を書いているぞ。吉村昭。そんなに好きか? この地味で渋い作家さんの作品がそんなにも好きなのか? などと自問自答しつつ今回は小説ではなくて随筆集を読んだ。 地味過ぎる……いくら私が渋好みでも、ちょ...
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破獄 吉村昭 新潮文庫

「渋くて面白い」「地味すぎて詰まらない」のギリギリのラインにある作品だと思った。読む人によって、受け取り方は変わるだろうと思うのだけれど私は迷わず「渋くて面白い」に一票を投じたいと思う。 第二次世界大戦の渦中、4度も脱獄を繰り返す主人...
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雪の花 吉村昭 新潮文庫

江戸時代に、私財を投げ打って種痘を持ち込んだ医師の生涯を描いた作品である。異国の文化を取り入れることさえ容易でなかった鎖国の時代に西洋医学の治療法である「種痘」を取り入れて天然痘を治療するのは、どれほど困難だったかは簡単に想像することができ...
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光る壁画 吉村昭 新潮文庫

私はこの小説を読むまで「胃カメラ」を開発したのが日本人だと知らなかった。男のロマンと言うか、なんと言うか……なにげにNHKの『プロジェクトX』を彷彿とさせる技術者の物語だった。 地味な作りだが「物作りの楽しさ」を知っている人なら多少な...
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島抜け 吉村昭 新潮文庫

私は時代劇育ちなもので「島抜け」という言葉を聞いただけでドキドキしてしまった。実質上は「脱走」ということなのだが、世間から隔絶された場所からの逃避感は「脱走」よりも「島抜け」の方が一歩リードしているように思う。しかも時代物である。動力のある...